深海魚が水圧でつぶれない理由は?
深海魚の定義について
海の深さを2層に大別すると、水深200メートルまでが浅海、それ以上深いところが深海になります。 さらに深海は、3000メートルまでの漸深海帯、6000メートルまでの深海帯、それ以上深い超深海帯に分けられます。
この3つの層に棲んでいる魚を深海魚とか深海の生物とよぶのですが、変わった魚がたくさんいます。
おなじみのチョウチンアンコウをはじめ、頭がじょうごのような形になったペリカンウナギ、体の3倍以上もの尾が房のように下がったホッスガイ、 腹部がえぐり取られたようなホウライエンなどなど。
そろいもそろって個性的な体つきは、水圧のせいでおかしくなったものなのか、と勘ぐりたくもなりますが、それは違います。
深海魚は水圧と釣り合うように出来ている
深海の生物の体液や血液と海水の水圧とは、きちんと釣り合うようにできているのです。
水圧は10メートルごとに1気圧増すので、たとえば水深1000メートルのと ころでは300気圧にもなります。
でも、もとからそこに棲んでいる生物にとっては、この水圧こそが最も自然な状態なわけです。
また、イソギンチャクやナマコ、二枚貝などは浅海にも深海にも棲んでいますが、 こういった下等動物の場合には浮き袋がないため、どこへ行っても水圧の影響をさほど受けずにすむようです。
問題なのは浮き袋のある魚で、急に引き上げられたりすると浮き袋内の気圧調節がうまくいかず、パンクしてしまうこともあるとか。
パンクとは破裂のこと。
たくさんの水圧がかかった環境から一気に水圧の少ない海面近くに引き上げられると、押さえられる力が一気に開放されるので破裂してしまうのです。
もっともこのような事故は、垂直移動の習慣のない魚を人間の都合で無理に引き上げてしまうから起こるのです。
そのため、水族館で深海魚を見るためにはとても慎重に専用に機材を使って移動する必要があるのです。