まめがく

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ハトが首を前後に振って歩く理由は?

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鳩が首を振る理由

実は停止と前方への突き出しの繰り返し

公園に集まるハト(を見ていると、歩くときに前後に首を振っていますが、どうして首を 振るのでしょうか?

「首を前後に振る」と書きましたが、ビデオの映像を分析すると、実はハトは首を止めるのと前に突き出すのを交互に行っているのがわかります。

首を止めている間も体が前に進んでいるので、体との関係で首を前後に振っているように見えるのです。

これについてはいくつかの説があります。

外界の景色が後ろに流れていくのに合わせて首を振っているという視覚的要因を重視する説と、視覚ではなく平衡感覚を司る内耳が関与しているという説、足を動かすと首が連動して動いてしまうという体の構造によるものだという説などが考えられます。

風景が動かないランニングマシンの上で実験

エジンバラ大学のフリードマンは、巧妙につくった装置の中でジュズカケバトを歩かせて、首振りのしくみを研究しました。

それによると、スポーツクラブのランニングマシンのように床が後ろに流れていき、自分は歩いているのだが前にも後ろにも進まないとき、ハトは首を振りませんでした

こ れで、歩く動作に連動して首が動いてしまうという説は否定されます。

今度は、後ろに流れるランニングマシンで、歩いている自分は動かない点は同じにして、回りの景色を後ろに動かしてやると、ハト首を振って

また、鳩が立ち止まったままの時に景色のみを後ろに動かしてもハトは首を振ったのです。

これらのことから、ハトは回りの景色が後ろに流れていくのに対応して首を振っていることがわか ります。

念のためハトを歩かせないで、景色を描いた回りの壁も含めた装置ごと前に動かしてもハト は首を振りませんでした。

これで、体が前進していることを内耳が感知して首を振っているということもないことがわかります。

このような結果から現在は、ハトの首振りは視覚的なもので、頭を動かさない時間をつくって物をよく見たり、また頭を瞬間的に移動させて目標物を立体的に捉えるために役立っていると説明されています。

重心の移動に連動している

最近、東大の研究では、ドバトの歩行のビデオと重心の動きと関連させて解析した結果 から、首振りは視覚的要素がすべてではないといっています。

この分析によると、ハトの首の1振り は足の1歩に対応していて、後ろに残した片足を上げて重心が反対の足に乗ると首を固定し、上げた足を前に踏み出して重心が移動するときに首を突き出すという具合に重心の移動に連動していました。

この結果から、首振りは片足立ちの瞬間に首を固定することで歩行の安定性を増す働きがあると結論しています。

ところで、ハトやニワトリは首を振って歩きますが、首をほとんど振らないで歩く鳥もいます。

どうしてある種の鳥は首を振り、別の鳥は振らないのでしょうか?こういったことは実はまだ未解明です。

たかが鳥の首振りといっても、汲めども尽きぬ課題が残されているのです。