犬や猫と話せる日はくるの?
動物と話すことは出来るの?
人間には動物と話したい願望がある
自分の飼っている犬や猫、ペットと話してみたいというのは誰しも一度は考えたことのある夢の話です。
会話できたらきっと新しい世界を知ることができるにちがいないと思いますよね。
異種間コミュニケーションの願望が、私たちヒトに根強いのは事実です。
アニメやマンガで動物のキャラクターが言葉を発するのは、そうした願望の表れでしょうし、古くは、イソッ プ童話や西遊記にも擬人化された動物が現れます。
日本では京都・高山寺に伝わる絵巻物 「鳥獣戯画」が有名です。
いずれも異種間会話への願望が反映されたものとみてよいでしょう。
最近、そんな根源的願望の実現に向けた研究が行われました。
人とネズミの実験
バルセロナ大学のスレイター 博士らが、9月の「プロスワン」誌に発表した実験です。「バーチャル・リアリティ(VR)」 を応用して、仮想空間の中で、ヒトとネズミが交流するというものです。
TVゲームが好きな方でしたら、VRをご存知でしょう。
モニターに映しだされた3次元 空間内を探索していると、その空間に入り込んだかのような錯覚がします。
今回の実験では、家庭用ゲームよりも凝ったVR装置を使っています。
頭からスッポリとかぶって視覚や聴覚を完全に制御することで、仮想空間に映しだされた部屋が現実と区別で きないほどリアルに感じられる装置です。
この仮想空間内で、アバター(自分の分身となる キャラクター)を操って、自在に行動することができます。
部屋にはもう1人のアバターが住んでいます。
彼もまた自由に動き回っています。
人の容姿をしていますが、実は、ネズミが操作しているのです。
別の実験室で飼育されているネズミを遠隔モニターし、そのネズミの動きに合わせてアバターを動かしているのです。
実物のネズミの飼育カゴには、ネズミとほぼ等身大のロボットがかれています。
このロボットは逆に、先ほどの人の動きと連動しています。
このことは人側には知らされていませ ん。
もちろんネズミも、まさか眼前のロボットが隣の部屋にいる人の頭の中の仮想アバター と連動していることは知る由もないでしょう。
ネズミと人が共同作業!?
面白いことに、部屋に同居することに互いが慣れてくると、一緒にゲームをすることもできます。
ヒトとネズミのコラボレーションです。
現時点では会話するには至っていませんが、種の壁を超えた共同作業が実質的に可能であることが証明されたのは大きな進歩です。
現在、私の研究室でも、ヒトとネズミの脳を、コンピュータを介して連結し、脳内会話を 行う実験を計画しています。
会話における言語の壁が、いや、生物界の「種」という壁が破られる日は、そう遠くないことでしょう。